「桜が散る頃帰ってこれると思います。」


早く戻ってきてください。
早くその笑みで安心させてください。
どうか、どうかご無事でありますように・・・。




















桜願




















それは寒さも厳しく、木の葉に雪の葉が舞った日のこと。

そして彼と最後に会ってから3ヶ月ほどったった時だった。


「寒い。」

「はは、こう寒いと外での実習は厳しいですね。」

「本当ですよ・・・「先生〜!!は〜や〜く〜!!!」はいはい。」

今日は外での課外授業が3時間。

こんな日に限って雪ですか・・・・はは・・。

子供達はさすが風の子。

みんな元気いっぱいはしゃいで・・・可愛いな〜。

「さて、今日は手裏剣の実習とグループによるかくれんぼをしてもらいます。」

「「「えぇ!?かくれんぼ!?」」」

「そう、かくれんぼv」

約20名のクラスで男女ほぼ同数。

グループ分けはしやすい。

まずはスリーマンセルということで・・・

「笹の木、百合町、葉是・・・・・っと、これでしょうど6組完成。」

「先生!私このことなんていや!!」

「俺だって!!」

「こら、これは任務実習も兼ねてるの。任務のたびに相手を選ぶことなんてできないのよ?

 誰とでもうまく組んで、きちっと任務をこなす。それが忍び。」

「「・・・はーい・・・。」」

「わかればよろしい。ではまず手裏剣の・・・・・」


手裏剣の実習を終え、いよいよかくれんぼ。

「ではA、C、E班が鬼。B、D、F班はこの森内で隠れること。鬼グループで先に8名捕まえたグループには

 褒美として・・・一楽のラーメン食べ放題券をあげるわv」

「「「「「「「「ええぇぇぇぇ!?絶対だよ先生!!!」」」」」」」」

「もちvじゃぁ・・・散!!!」

ざざっと追われる側の子達が森の中へ姿を消す。

約5分後、鬼も森へ。

逃げるほうはトラップOK。

1時間後、今度は鬼側の班が逃げるほうへとかわる。

捕まっても、仲間が鬼にタッチされず捕まっているこをタッチできればそのこは逃げられる。

単純だけど

「一番効率いいんだよね〜v」

子供達の動きが把握できる森の中心部の一番高い木に姿を潜め、様子を伺う。

「・・・うん、中々・・・「ゴホッ。」うひゃぁ!?」

あ、なんかこの展開前にもあったよね。

「ハヤテさん!」

いつの間にか背後にいらして、まったく気付きませんでしたよ・・・。

雪に気をとられすぎたかな・・。

「こんにちは、ちょっといいですか?ゴホッ」

「いえ、今授業中でして・・・。」

「ではここで構いません。」

そうは言われても・・・・

子供達のことに集中していたい。

なにかあったらすぐに駆けつけたいし。

「すみません、今は子供達のことに集中したいんで・・っ!!」

ざぁっと吹き抜けた風の中に血の匂いがまじっていた。

そしてかすかだけど悲鳴。

「すみません!失礼します!!」

私はその場にハヤテさんを残し、悲鳴の聞こえたほうへ疾走する。

!いた!!

「どうしたの!」

先生〜うわー!!!」

「泣いていないで、見せて。」

「ひっく・・・足、すべって・・・」

「落ちたの?・・・怪我は大丈夫、これを塗って。」

「はい・・グスッ・・・。」

「では、授業に戻りなさい。大丈夫、やれるわね?」

「はい!!」

ほっと、息がもれる。

トラップは許可したが、武器の使用及び危害を加えるような危険行為は禁止してある。

だが万が一生徒が生徒を傷つけるようなことがあっては大変だ。

幸い、木から落ちただけで怪我も擦り傷だけだった。

「良かった・・。」

その後、授業は無事終了し約束どおり、優秀だった班には一楽の食べ放題券を進呈して

解散となった。

今日はこの後アカデミーに戻らず、そのまま帰宅許可を得ていたのでまっすぐに家へと向かう。

「あ・・ハヤテさん・・・。」

忘れていた・・・。

何か、話したそうな・・真剣な顔をしていた。

「どうしよう、・・明日、探してみよう・・。」

気がかりに思いながら、家の前についてしまった。

ふと、ドア下に封筒が挟まれているのに気付く。

「?なに・・・?」

手に取り、封筒をみても宛名もなければ差出人の名前もなかった。

「・・・うちのドアにあったってことは、私宛だよね?」

家の中にはいり、着替えをしてからソファにすわり封を切った。

途端、覚えのある香りがほんの一瞬だけ香った。

「ぁ・・ハヤテさんだ・・。」

中から出てきたのは一枚の便箋と、お守り。

疑問に思いながら手紙に目を通す。

「・・・っハヤテさん!!!」

気がついたら家を飛び出して、木の葉の門のほうへと駆けていた。


−−−−さんへ−−−−

本当なら直接お伝えしたかったのですが、時間がないのでこのような形での報告を

許してください。

本日より長期任務へと赴くことになりました。

危険な任務ですので内容はお伝えできないことご了承ください。

予定では桜の散る頃戻る予定です。

いつも思っていたのですが、少々無理をなさっているようで

貴方が倒れてしまわないか心配です。

お守りを同封しましたので、どうか傍にお持ちください。

私のかわりに貴方をお守りしてくださるよう願をかけておきましたので。

では、ご自愛を。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「ハヤテさん・・・!」

フルスピードで門前まで疾走し、門番を確認しながら減速する。

「不知火先輩!!」

「ん?か?」

「先輩!!ハヤっ月光特別上忍は!!?」

「ハヤテなら2刻も前にいったぜ?」

そんな・・・・。

・・・・の・・・

「あ!おい!?」

ハヤテさんのばかっ!!

くるっと向きをかえて再び家のほうへと走る。

もっと、もっと。

苦しさで何も考えられないように・・・!!

「きゃっ!」

前もろくに見ずに走っていたため思いっきり誰かとぶつかってしまった。

・・・って・・・え?

「ここ屋根の上・・あ!!はたけ上忍!!」

「イタタ・・ん?ちゃんじゃないの。どうしたの?そんな顔して。」

すっと頬の涙を拭われ自分が泣いていたのだと気付いた。

「あ・・・はたけ上忍は何故「散歩vで?どうしたの。」・・・う・・うぅ・・はたけ先輩〜!!」

「!!??ちゃん!?」

はたけ上忍とは教師になる前何度か任務でお世話になっていた。

いつも優しくて、とっても頼りになる先輩。

そんな先輩に今会うなんて。

「うっうぅ・・・ぐすっう・・「・・・ここじゃ寒いし、俺んちいこうか?」・・ひっくぅ・・ふぇ・・。」

そのさりげない優しさに感情が抑えきれなくなって、思い切り泣いてしまった。

どうしても、落ち着けなくて、返事ができないでいたらひょいっとお姫さま抱っこされて。

気付いたときには先輩の部屋だった。

「ヨシヨシ、今水持ってくるから。いい子に待ってなさい。」

ベッドに座らせてもらって、頭を撫でられた。

なんだかその行為が嬉しくて、また涙が・・・

「ひっく・・うぅ・・うわぁ・・・ぁ・・・グスッ・・・。」

「はい、ダイジョウブダイジョウブ。」

お水を一口もらって、コップをテーブルに戻す。

それでも泣き止まない私に、先輩は泣き止むまで優しく頭を撫でてくれていた。

「ふっぐす・・・・・・あ、ありがとうございます。すみません、こんな夜中に・・。」

「いいから、落ち着いた?」

「ぐす・・はい・・・。」

ヨシヨシと頭を撫でた後、先輩は私を胸に抱いてくれた。

温かいのと、恥ずかしいのとで顔が赤くなる。

「どうしたの、ちゃんが泣くなんて・・・誰がいじめたの?俺が始末してくるから、いってごらん?」

し、始末って・・・・なんか先輩から黒いオーラを感じる・・・・。

「い、いえ、いじめられたわけでは・・・。」

「じゃ、なんで泣いてたの?」

ぎゅっと抱きしめられて、先輩の顔が見えないけどきっとすごく心配してくれてるんだろうな・・・

(実際のカカシの心情)

くっそ〜を(呼び捨て)泣かせる野郎は殺す。

てか鳴かせていいのは俺だけだっての!!

(終了)

「・・・た、大切な友達が・・危険な長期任務に・・・私・・気をつけてもいえなくて・・・」

「・・・(危険な長期任務って、それハヤテじゃ・・。)そっか、ちゃんと見送れなかったのが許せないの?」

「はい・・直前に会いに来てくれたのに・・私授業中で・・ろくに話しも聞かずに・・・・。そしたら・・

 家のドアの下に手紙が・・・。」

「(会いに、ね・・)・・そっか、じゃぁ帰ってきたらおかえりって言ってあげたらいいんじゃない。」

「・・・はいっ!」

先輩に話を聞いてもらって、たくさん泣いて、どこか気持ちが軽くなった。

そうだ、帰ってきたらおかえりなさいって迎えよう。

たくさんのお酒と、たくさんの料理で。

私の手料理食べたいって言ってたし。

桜が散る頃・・・まだまだ長いけど、私ができることをして待っていよう。

「先輩、ありがとうございました。」

「いいよ、なにかあったらいつでもおいでv」

「はい!」


家について、眠ったのはもう明け方近く。

ハヤテさんがくれたお守りを手に、私は眠りについた。





「ん・・!!!やば!遅刻!!!」

・・・なにか、夢をみたような・・・。

って!!

「キャー!!もう7時過ぎちゃう!!!」

慌てて服を着替え、顔を洗ってアカデミーへと向かう。

もちろん、ハヤテさんがくれたお守りをもって。

・・・って、普通私がハヤテさんにあげるものなんじゃ・・・?