月明かりが照らす白銀の野に咲く花。

どんな願いも叶えてくれるという。

もしその花を手にしたら、何を望もう。






























白銀の花























「え?白銀の花?」

職員室でイルカ先生と話していたら、サクラちゃんに教えて欲しいと質問された。

「はい!どこに咲いてるんですか?」

「・・・月明かり照らし白銀の野に咲くは銀細工と見まごう美しい花・・・の?」

「それです!」

それって・・・

木の葉の里に古くから伝わる伝承の一つ。

いわば昔話。

「残念だけど、先生もまだ見たことがないの。」

「そうですか・・・私、白銀の野っていうのは雪のことじゃないかなって思うんです。」

「確かにそうとれなくもないけど・・・いきなりどうしたの?」

「・・え!?あ・・し、失礼しました!!」

ばばっと出て行ってしまった教え子に疑問だけが残る。

先生、その白銀の花って確か手に入れると願いが叶うんでしょう?大方、サスケと

 両思いになりたいってとこじゃないですかね。」

イルカ先生はほほえましそうにサクラちゃんの出て行ったドアを見つめている。

確かにサクラちゃんならそう願いそうだな。

サスケ君に一直線で、羨ましいくらい一途。

「そうですね、あんなに誰かを好きになれるなんて羨ましいです。」

先生は気になる男性はいらっしゃらないんですか?」

「いないです。」

「そうですか・・。」

だって、周りにいるのはみんな忍。

いつ命を落とすかわからない人を愛すなんて・・怖くてできない。

付き合うなら、絶対民間人!

って決めてきたものの出会いがなく・・・。

「「はぁ・・・。」」

イルカ先生とダブってしまった・・。

。」

声のしたほうをみれば、サスケ君。

いつも、教師でも呼び捨て。

私は気にしてないけど・・・ここは職員室。

先生、でしょう?どうしたの?」

「来い。」

来いって・・・

仕方なくついていくと、そこは普段滅多に入らない資料庫。

なんとなく・・ね?

なんとなく嫌な予感を覚えながら中に入る。

もちろん、脱出経路は確保しつつ・・ね?

「こんなところに呼びっんんぅ!!」

しまった!!

って、思ったときは遅いもので・・・。

「っはぁっや!サスケ君・・やめなさっんっ・・。」

思い切り腕を固定され、いいように咥内を犯される。

それでも、一応中忍なんですよ私!

「ってぇ・・・生徒に怪我させていいのかよ。」

舌に軽く歯を立ててやった。

「あのねぇ・・なにしてくれてるの!?もう放しなさい!」

「いい加減学習しろよ。」

「うぐ・・・。」

そう、これが初めてじゃない。

2ヶ月ほど前、残業で残っていたときに彼に唇を奪われてからこれで5回目。

それでも!もちろん何度も策はこうじてきて今のところ奪われたのは唇だけ!!

さすがに生徒に乱暴はできないし・・。

「授業が「お前の授業はもうないだろ。」・・・君は「サボる。」・・・神さま・・。」

なんだか今日はいつになく怖いし・・。

「ね、放してっやだ!」

「クク・・敏感だな・・。」

首筋を舐め上げられて背筋に寒気が走る。

「いい加減にしないと、イルカ先生に報告するよ?」

「生徒に犯されました、なんて言えるのか?」

・・・そ、それはさすがにいえない・・・・。

「・・う・・・うぅ・・・。」

「俺のものになれ。」

なんで子供がこんな台詞をいうんですかー!?

「あのね!?子供がなにいってっやっサスケっあ!」

「子供かどうか、試してみるか?」

「すみませんごめんなさいもうやめてー・・・あ。」

「あ?」

「・・じゃぁこうしよう!私今すごく欲しいものがあるの!それ持って来たら、何でも

 言うことを聞くから!」

「・・・本当だろうな?」

「うんうん!!」

「で?なんだよ。」

「白銀の花。」

「・・・却下。」

「ちょちょちょ!!こらどこさわっん!なんでっきゃ・・か・・や!」

「実在しないものは持ってこれねぇ。」

「実在するって!」

さっきサクラちゃんと話していたのを思い出し、

なんとかこの場を打開しようと打ち出した案はまさに竹取物語。

はは・・情けないー・・・・。

「・・・いいだろう。調べて、実在しないか、持って来たら俺の言うことを何でも聞くんだな?」

「実在しなくても・・・?」

「当たり前だ!」

く、苦しい・・・これはほぼ確実にやばいよ・・・。

「わ、わかった。」

わかった、そう言うと彼はすっと姿を消した。

はっきりいって、怖かったよお母さん。

まだ子供で、下忍ですらない子にここまで怯える中忍って・・・はは・・・。

「あれ?先生、ここでなにしてるの?」

「!!サクラちゃん!ちょっと調べ物、どうしたの?」

「武具を調べにきたんです!鍵預けてもらえれば閉めていきますよ?」

「そう?ありがとう、よろしくね。」

「はーい。」

・・・いい子だ・・・。

サクラちゃんにすっごく悪いことしてるよ・・。

サスケ君もなんで私なんだか・・。

サクラちゃんのほうが若くて、可愛くて、頭脳明晰!将来有望なのに〜。

その後、いつも通りの仕事をこなして帰路へつく。

サスケ君の襲撃に怯えつつ・・・。


・・・?今日もこない・・。

あの日からサスケ君はアカデミーへも姿をみせなくなった。

もう1週間。

さすがに心配になる。

先生、サスケのこと何か知りませんか?」

「えぇ・・。」

「そうですか・・。家にも帰っていないようなんです。」

「・・私ちょっと探してみます。」

「お願いします!」

アカデミーのことをイルカ先生にまかせ、まずはサスケ君の家を訪ねる。

しかしそこに気配はなく、また数日帰っていないことがわかった。

「・・まさか・・。」

白銀の花を探して・・?

何か事故にあったんじゃ・・・!!

もしそうだとすれば白銀の花のことを調べたほうが早い。

私は里の老人の家を巡ったり、古い書庫を調べまわった。

すると、少しサスケ君の足取りが浮かんできた。

たずねた老人の何人かに接触していること、書庫にも最近調べた痕跡が残っていた。

・・・なんでここまで・・・。

ふっと・・・川の流れに目がいったとき聞き集めた話や書庫の古い文献の言葉が重なった。

「もしかして・・・。」








ざぁ・・・・・

木の葉の中でも、危険極まりないことから立ち入りを禁止されている洞窟の一つ。

風が吹きぬけるその暗闇の中で、ぐったりと横たわったサスケ君を見つけた。

「!サスケ君!!!」

かけより、抱き上げると体温はひくく呼吸も浅い。

外傷から洞内の生物に襲われたようだ。

このままじゃ・・!!

・・・・光・・・?

闇に包まれていた洞内にふわっと光が差し込んだ。

それは洞窟の天井に開いた穴から差し込んだ月、満月の光。

そしてその光は洞窟内の湖、地底湖を照らし出した。

「・・・あれは・・・。」

その様はまさに白銀の野。

そしてその野の中心近くに、その花は咲いていた。











「・・・ここは・・・。」

「サスケ君!良かった・・気がついて・・・。サスケ君の家だよ。」

すぐにサスケ君を運び、心配で傍を離れられなかった。

「なんでこんな無茶を・・!!心配したんだよ!?」

「・・!今何時だ!」

「もう明け方だよ・・・。」

「くそ!なんであそこにいなかった!花が「うん、白銀の花、あったね。」・・みたのか?」

あの時、光に照らされて浮かび上がった花はまさに白銀の花。

私はすぐにそれを手にした。

「・・・何願ったんだ?」

「・・サスケ君が、回復しますように。って願ったら、すっと消えてしまったの。」

「・・・。」

「でも、願いを叶えてくれた。本当に良かった・・。」

もう一度ぎゅっと抱きしめて、温かい体温にほっとする。

生きていてくれてよかった。

「・・・なんで、何か願いがあったんだろ。俺のこと嫌ってるくせになんでそんな願いに使っちまったんだ!」

「馬鹿!嫌ってなんかないから。・・ありがとう、見つけてくれて。約束、何でも言うこと聞くから。」

そう、彼が白銀の花を見つけてくれたことに違いはない。

「・・・。」

「なんでも、言って?」

「・・俺のことを男としてみろ。」

・・・えーと・・・それは・・・

「それは・・ちょっと・・・?」

「なんでも聞くんだろうが!」

「そうだけど!!だって子供「覚悟できてるんだろうなぁ?」・・・・・い、いや!!ヘルプ!!」












白銀の花。

ありがとう。

大切な人を救ってくれて。

これからは、もう少し素直に行こうと思います。

今回のことで、彼の気持ちがはっきりとわかったから。

そして私の気持ちも。

ずいぶんと歳の差があってそれが気になるけど・・・。

あ!また白銀の花に願おうかな・・・若返らせてくださいって・・・。

ても、一度つんでしまうと数百年は花をつけないらしい。

花が咲くと、つまれるまでその美しい姿を保つらしいけど・・。

もう一つ、実は願ったことがある。

でも、叶えるのは一つだろうし・・・。

「どうかこの子を救ってください!そして・・できることなら一緒にいさせて・・・!」

・・・キャー!今考えると何言ってるの私!?

うぅ・・・恥ずかしい・・・。

でも、でも・・それが本音。