今日は可愛くて怖い恋人との初デート。



























風の流れに舞う言葉























「・・・厚着して来いって書いたと思うけど。」

朝10時2分。

雲雀君はきっちり10時にうちの前に現れた。

どうしてうちの住所を知っているか、はまた今度追求するとして。

「なんでバイク?」

彼は大型バイクに乗って現れた。

颯爽と。

普通、かっこいいwって思うところなんだろうけど。

彼はまだ中学生で。

「無免許!?」

「今すぐ厚着してこないと・・・わかるね?」

「はい。」

なんだか会話がかみ合ってなかったけど。

怒らせるのは嫌なので(怖い)さっさと部屋に戻り言われたとおり厚着しなおす。

この季節じゃそんなに厚着しなくても平気なんだけど、さすがにバイクではかなり着込まないと辛いだろう。

10分後。

再び彼の前に行くとひょいっと何かを投げてよこした。

「あう!?な、え?ヘルメット?」

「さっさとかぶって後ろに乗る。」

言われるがままヘルメットを着用し、後ろにまたがる。

うわー・・・はじめてバイク乗った。

「・・・何してるの?」

「え?すごくかっこいいなぁって。」

「振り落とされたいわけ。」

あぁ、はい。

さっさと捕まれってことですよね。

「こ、これでいい・・?」

なんだか恥ずかしくてあまりくっつけない。

「腰に手、回して。早くしないと本当に落とすよ。」

それが恋人に言う言葉ですか・・?

渋々彼の華奢な腰に手を回し、頭を彼の背中に預ける。

ブオォン!

バイクは大きな音をたてて走り出した。



「キャー!!!止まってー!!!!」

「なに?聞こえない。」

嘘付けー!!

絶対聞こえてるくせに!!

怖いー!!!!

ていうかどこに行くんですかー!?

もうともかく怖くてしがみつき、目をつぶる。

早く止まりますようにー!!!

どれくらい走ったのだろう。

エンジンが止まって、やっと目を開けるとそこは綺麗な湖の湖畔。

「う、うわー。綺麗!」

「ヘルメットとって。」

「あ、うん。」

急いでヘルメットをとって、雲雀君に返す。

そして湖の近くまで走る。

「すごい!こんなに綺麗・・。はぁ・・・心が洗われる・・・。」

って子供だね。」

「みてみて!あそこに鳥がいる!」

子供といわれたことにはあえて触れず、さっさと話題を変える。

綺麗だよ、ほんと。

って・・・。

横に来た雲雀君を、思い切り直視してしまった。

だって、あまりに綺麗だったから。

黒のライダースーツが良く似合ってる。

その黒髪と、白い肌を際立たせて。

あぁ、なんか悔しいって言うより悲しいわ。

「なに見とれてるの?」

「綺麗だから、悲しくなった・・。」

「意味の通った台詞を言おうよ。」

「うー・・・。」

なんだかなー・・・

そういえばさ。

雲雀君て本当すごい人だよね。

容姿もそうだけど、頭脳明晰、喧嘩最強。

こんなにすごい人が、なんで私を好きになって・・・好きに・・・?

本当に雲雀君は私のことが好きなの?

まだ好きって言われてない。

・・・もし、遊ばれているだけだったら・・?

「・・ねぇ、雲雀君。答えて。」

「・・・・。」

「私のこと、どう思ってるの?」

「今更だよ。」

「ちゃんと言葉にして!だって、まだ聞いてないよ。」

真っ直ぐ、彼の目を見つめる。

少しでも彼の気持ちを知りたくて。

「・・・は言葉にしないと僕の気持ちがわからないの?」

「わからないよ。わかっても!自惚れかも知れないって不安になる・・。」

私は自分の気持ちに嘘をつかない。

わかるよ、なんて言って傷つくのは彼だから。

思ったことは伝えたい。

だって、折角言葉があるんだから。

「・・あ、焼き芋。」

「え!?どこ!?あ!待ってー!!2本くださーいw」

「・・・単純。」

きゃー美味しいv

ほくほく!

「ほら、雲雀君の分!美味しいよv」

「食べて良いよ。」

「いいの!?・・・じゃぁありがたく・・。」

「・・・太るよ。」

「いいの!!」

やっぱお芋っておいしい・・・って、

「あ!ちゃんと答えてよー!!」

って単純だよね。」

「単純で結構。答えないと沢田君のお嫁さんになっちゃうから。」

少しだけ、彼を刺激してみる。

だって、なんだか私だけ雲雀君の手のひらの上って感じだし。

でも、この行為は野良犬の尻尾を踏むくらい危険な行為だったようだ。

「・・・え?」

ドサッと派手な音が聞こえて。

なぜか目の前に雲雀君のどアップがあって。

手に持っていたはずの焼き芋が2本ともなくなっていて(湖に落ちたらしい)。

背中が痛くなってきたと感じたときにやっと理解した。

「・・・私、押し倒されてます?」

湖の波の音が聞こえる。

じゃりが痛い。

湖畔で押し倒されるって・・・これってドラマ?

なんていってる場合じゃないし!!!

「ええっと・・・お、怒った・・・?」

「・・・僕は、笑えない冗談は嫌いだ。」

はは・・・どうしよう。

「ごめん、ちょっとだけ刺激すれば本音言ってくれるかなって浅はかな考えでした。」

嘘を上塗りするくらいなら、きちんと事実を伝える。

「・・・・許さない。」

お母さん、こういうときどうすれば切り抜けられますか?

というか、まぁ自分がまいた種だけどさ・・・?

「ど、どうしたら許してくれる?」

「そうだね・・からキスしてくれたら許すよ。」

・・・え?

それでいいの?

「・・・うん、わかった。」

くいっと、上に乗っている彼の襟口を掴んで引き寄せる。

顔が近づいたところで、頭を持ち上げて私から初めてキスを送る。

ちゅっ

「・・こ、これでいい?」

恥ずかしい。

今の私の顔はきっと、茹でたたこより赤いはず。

「・・・一度しか言わない。」

「?え・・・?」

「・・・僕はが好きじゃない。」

「!!・・・やっぱり・・。」

「愛してる。」

やっぱり好きじゃないんだ。

愛してるって・・・え?

「あ・・愛し・・?」

「今日は帰さないから。」

「・・・うんっ!」





あぁ、これが幸せって奴なんだな〜。

嬉しくて、頬が緩みっぱなし。

「朝も言ったけど、落ちたいの?」

「わわ!落とさないで!」

ぎゅっと彼の背中に頭を押し付ける。

あれ・・?

ブオォン!!

雲雀君の背中、こんなに逞しいんだ。

朝は、華奢で折れそうとか思ってたのに。

って・・・キャー!!

「お、落ちるー!!」

「・・・落とすわけないでしょ。」

「えー!?なにー!?」

「なんでもないよ。」

風にのった言葉は捕まえられなかったけど。

でも、雲雀君の心を少しだけ捕まえる事ができた気がした。











この幸せが続くことを祈って。

どうか−−−−−−−。