私の嫌いなもの。
苦いもの。
虫。
牛乳(お腹壊すから)。
女ったらし。
無能。
不真面目。
嫌いor好き
「やぁ、今日も綺麗だ。」
「この書類に目を通しておいてください。では失礼します。」
「つれないな、今夜食事でも《バタン》・・・はぁ・・・。」
ここ1ヶ月。
会えば必ず声をかけてくる男がいる。
それは上司で、一応女から人気のある人。
ロイ・マスタング大佐。
でも、私は嫌い。
だって私の嫌いなものTOP6のうち3つも当てはまるのだから。
「嬢、今日も使いか?」
「ハボック少尉!はい、父様に頼まれまして・・。」
「お疲れさん。また近々遊びに行くからよろしくな?」
「はい、お待ちしてます。」
私の父は国軍准将。
南方司令部勤務だけど、書類を軍にではなく自宅に送ってくるのでそれを私が
中央司令部まで届けるのが当たり前になっていた。
なので司令部の人とは顔見知り。
私はセントラルにビーズショップを開き、これから夏に向かうこの時期は一番忙しい。
なのに・・・
「父様ったら・・今度から姉さんに頼もうかな。」
姉さんは実家の手伝いをしているだけで、普段忙しいこともない。
今度から書類配達は姉に頼もうと心に決める。
「そうすれば大佐に会わなくてすむし・・・」
こっちが本音かも。
ハボック少尉はよくショップに顔を出してくれる。
なんでも、青いビーズが好きなんだとか。
「さて、帰ったらまた作業しないと。」
今作っているのは青を貴重にしたブレス。
そう、ハボック少尉にプレゼントするために作っているのだ。
普段お世話になっているし。
唯一心を許せる男性だから。
「、待ちたまえ。」
げっ・・・
「はぁ・・何ですか?マスタング大佐。」
「・・そう嫌わないでくれ。今夜、食事「忙しいので。」・・なら明日は「失礼します。」・・・
、私の何が気に入らないのだね?」
「女ったらしで不真面目で無能なところです。」
「・・・・・。」
「失礼します。」
はっきりと言い切ってその場を離れる。
これで言い寄ってくることはないだろう。
というか、大佐と付き合いたい女性なんて山ほどいる。
なのになんで私に付きまとうんだか・・・。
ショップに戻り、ハボック少尉にあげるブレスを完成させた後もアクセ作りに追われた。
ピアス、ブレス、ネックレス・・・・
「っと、これで良し・・。」
当分の在庫を確保し、ほっとする。
ドンドン・・・
「?あれ、誰?」
滅多に裏口を訪ねてくる人はいない。
いるとすれば業者の人だし、でもそれは発注したときだけ。
今は特に頼んでいないし・・・。
「はい?」
「・・・やぁ。」
・・・はい!?
「・・・・・マ、マスタング大佐!?」
そこにいたのはいつもと少し違う大佐。
軍服ではなく、どこかラフな・・・ジーンズにシャツといった格好で。
「誰かと思いました・・・。」
驚いた。
普段見かける大佐はいつも軍服かスーツ。
「少し、イメチェンを・・ね。もう帰るのだろう?送るよ。」
すごく、幼く見えた。
私よりずっと年上で、大人の雰囲気を常に纏っていた彼がまるでまだ10代の少年のように。
少しはにかんだ笑顔も、仕草も。
「??・・お、おかしいかね?」
気恥ずかしそうに、気まずそうに、不安そうに尋ねられ鼓動が大きく跳ねる。
あ、初めてだ・・男性にときめいたの・・・。
「い、いえ。とっても若く見えます。」
「!!そ、そうか・・この顔は少々コンプレックスでね。こういう服装をすると幼く見えるのが・・。」
どうやらそれを気にしてスーツを着ていたようだ。
ものすごくベビーフェイスっていうのも大変らしい。
「そうなんですか・・・って!どうしてそんな服装でここに?」
「・・俺を見て欲しくてね。女ったらしで、不真面目で、無能かどうか・・。」
最後のほうは消えいりそうな声で沈みながら綴っていた。
どうやらよほど気にしてしまったらしい。
「って俺!?」
普段の大佐の一人称は私。
今は確かに俺っていったよね!?
「いっただろう?大佐のロイ・マスタングではなく一人の男としてのロイ・マスタングをみてほしい。」
・・・だまされるな私!!
きっとこれも何かの罠だ!!
「支度してきます。」
すぐに身支度を整え、帰路につく。
道行く女性はみな大佐を振り返り驚愕の色を浮かべていた。
それもそうだよね〜・・今までのイメージとだいぶ違うし・・・。
「、聞いているかね?」
「へ!?あ、すみません。きいてませんで「敬語はなしだ。」・・はい?」
「でも大佐「今は大佐ではない。」・・・。」
どこか毅然としながら真っ直ぐにこちらを見つめ視線をそらさない。
「・・わかった。」
「それから、名前で呼ぶこと。」
「・・・・。」
「なにかね?」
「いえ・・・・。」
それからたい・・・じゃなくてロイと他愛もない話をしながらいつの間にか家の前まで
きてしまった。
「じゃぁここで「、俺の家にこないか?」・・・行かない!」
すっと腕を捕まれあっというまに抱き寄せられてしまった。
っとに・・・!!
「放して!!思いっきり女ったらしじゃない!」
「!違う、俺がこうして抱きたいと思うのはだけだ。」
「嘘ばっかり!そういって毎日いろんな女性と「君だけだ。」・・!」
どうしてこう自分本位なのだろう。
私のことをなにも知らないくせに・・!
「私のこと何も知らないくせにいい加減に「知っているよ。」・・え?」
「知っている・・君が過去に男達に嬲られ、殺人を犯したことも・・。」
そう、私はまだ14歳だった。
学校の帰り道、3人の男達に倉庫に連れ込まれレイプされた。
何度も何度も助けを呼んだのに、誰も助けてはくれなかった。
だから自分でやった。
奴らが隠しもっていた銃で。
気付いたら病院で。
私は子供で、さらに正当防衛として認められお咎めはなかった。
それから、私は男性に対して常に距離をおいてきた。
どんな男も、中身は同じなのだとわかったから。
私を犯したやつらも、私が兄として慕っていた近所の幼馴染だったし。
「・・ったら、だったら放して!殺されたいの!?」
「君に殺されるなら、かまわない。ただ、わかってくれ。私は君を愛している。もうずっと前から。」
嘘だ。
これは罠だ。
「放して・・・。」
「初めて君に会ったあの日から、私は君に惹かれていた。しかし君の事は知っていたし、
陰ながら支えようと思っていた。」
「だったらどうして!!」
「なら何故ハボックには笑顔を向ける!!」
・・・っえ?
「男を軽蔑してやまない君が、何故奴には・・付き合っているのではないのだろう?」
確かに付き合っているとか、そういうのではない。
ただ、ただハボック少尉にはそういうものは感じなかった。
彼は、彼だけはいつもすがすがしく見えていつしか彼には気を許していた。
「1ヶ月前・・ハボックに楽しげに笑いかけている君をみかけて・・抑え切れなくなったのだよ・・。
あの笑顔を俺だけのものにしたい、そう願ってしまった。」
「・・わたしは「君が望むのなら君以外の女性とは一切接しないと誓おう。浮気をしそうだというなら
この顔を傷つけてくれて構わない。俺は君だけを見ている。」
どうしていいのかわからなかった。
ずっと、ずっと嫌いだった人から、こんなにも想われていたなんて。
「・・・ロイ・・本当に?本当に、私を「護る、何にかえても俺は君を護るよ。」・・・ろ・・い・・。」
自然と涙が零れた。
ずっと私の心を凍てつかせていた氷が解けて溢れてきたかのように。
温かいものが広がっていく。
「どうして・・どうして助けてくれなっかったの・・・私・・怖くて・・」
「・・すまない、だがこれからは護ると誓うよ。大丈夫だよ、。」
過去の記憶があふれ出し思考が混線する中で、優しく頭を撫でられているような気がした。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「いやぁっやめて・・おにいちゃ・・どうして・・・。」
「そう怖がるなよ。俺達がいいこと教えてやるからさ?ほら!ぬげ!」
「いや!!れか・・誰かぁ・・!!」
ガゥン・・・
「・・・あ・・おにいちゃ・・・?」
「、もう大丈夫だ。」
「い・・ロイ!!!」
「大丈夫だ。」
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
夢をみた。
あの日、助けを求める私に応えてくれる人が現れ、大丈夫だと抱きしめてもらった夢。
それはいつも楽しませてくれたハボック少尉ではなくて・・・。
いつも嫌っていたロイ・マスタングその人だった。
「ん・・・れ・・朝?」
目を覚ますとそこはいつもの自分の部屋のベッドの上。
体を起こしたときふわっと、決して自分のものではない匂いが香った。
「・・っロイ・・・。」
ぎゅっと己の体を抱きしめ、昨夜のことは夢だったのではと考える。
とたんにがくがくと体が震えだした。
怖い。
もし夢だったなら、私は変わらず独り。
「・・・夢じゃないよね・・・?」
誰にでもなく、独りごちる。
コンコン
『?起きた?』
「姉さん?なに?」
『朝ごはんできたって、早く下りてきな。』
「うん。」
返事をしたものの、食欲がない。
でも食べないと。
階下におりると目玉焼きやサラダがもう盛り付けてあった。
「、ねぇ。あんたマスタングさんにお礼いいなさいよ?」
ドクン・・
「え、なんで?」
「覚えてないの?まったく・・。昨日家の前で倒れたあんたを部屋まで運んでくれたのよ?」
夢・・じゃない・・?
「っ!?何泣いてんの!?ちょっお母さん!」
「ふっ・・・な、なんでもない!・・っく・・」
その後もしばらく私の涙は止まらなかった。
姉や、母が心配そうに声をかけ続けてくれた。
「本当に大丈夫?まさかあの大佐に何かされたの?だったら殴って「ち、違うよ!大丈夫だから。」そう?」
落ち着いてからも今日は仕事休んだほうがいいんじゃないかとかいろいろ気を使ってくれて
ありがたかった。
あの日、私が罪を犯した日から姉も母も、もちろん父も私のことは過保護すぎるぐらい
気にかけてくれている。
「大丈夫!じゃぁ、行って来ます。」
「いってらっしゃい!なにかあったらすぐ呼ぶのよ!?」
「はーい。」
なんとか説得し、店に向かう。
心を落ち着かせ、店のすぐ近くまでいったとき見覚えのある人が店の前で
たたずんでいた。
「!ハボック少尉!」
「!、なんだ寝坊か?なんかあったのかと思ったぜ。」
普段の開店時間は9時。
今は9時40分。
「えぇ、そんなところ。待って、今あけるから!」
裏口から店内にはいりシャッターをあげ開錠する。
「いらっしゃいませ!」
「おう。」
「あ、ちょっと待ってて!」
店の奥に一度戻り、目当てのものを手にして戻る。
「はいこれ、サービス。」
「ん?お、悪いな。いいのか?」
昨夜なんとか仕上げたブレスレット。
さっそくつけて嬉しそうに微笑む少尉をみて、どこかほっとした。
いつもの日常。
きっと、あれは夢だったんだ。
それからいつも通り営業をして、午後7時、店を閉じた。
「てと、今日は「、今帰りかい?」!!大佐!」
振り向くと、そこには昨日のようにラフな格好をした大佐が立っていて驚いた。
「ロイ、だろう?帰ろう。送るよ。」
この時間だと、定時に仕事を終わったとしても一度家に帰り着替えなどしたらぎりぎりだ。
「仕事は・・?」
「もちろん、終わらせてきたよ。少々急いで着替えたので少しアンバランスかもしれないが・・許してくれ。」
確かに、ズボンの色と靴の色が合っていない。
髪も乱れている。
「どうして・・・。」
「いつも傍にいて、君を一人にしたくないのだよ。」
そういって笑ったロイは、とてつもなく幼くて思わず笑ってしまった。
「クス・・ロイ可愛い。」
「!!・・・やっと、笑いかけてくれた・・・。」
ふわっと、優しく抱きしめられる。
夢じゃなかったんだ。
「ロイ・・・ね、聞かせて・・。私のことどう思っているの?私は人殺しなんだよ?」
「それがなんだね?君は君だ。・・好きだ、愛しているよ。」
ぎゅっと力が込められ、彼の心音が聞こえてきた。
それはとても早く、とても大きく。
「・・ロイ・・私もロイが好き・・・。」
「っ嬉しいよ、。」
こうして私はロイと付き合うことになった。
一番嫌いだったはずだったのに。
でも、今思えばいつもロイのことを考えていた。
もちろん、悪いことばかりだったけど。
でも、きっとそれは裏返せば彼に惹かれていたということなのかもしれない。
「幸せにしてね?」
「もちろんだよハニー。」
「きもっ!!」
「!!」
おまけ
「ロイは何色が好き?」
「ん?そうだな・・君い「普通の色を言え。」・・・白・・かな?」
「じゃぁ白いビーズでお守りつくってあげる。ハボック少尉にはブレスをあげたんだよ。」
「!!私にもブレスレットにしてくれ!」
「え〜・・・少尉とオソロがいいの?」
「!なら、リングがいい。」
「リング?つけにくくない?」
「君とペアリングで。私はネックレスにでもしてみにつけるよ。」
「・・・それって・・・ケチってる?」
「な!!君の手作りがいいのだが・・もちろん、いつかは私が君にプレゼントするよ。」
婚約指輪と、結婚指輪というペアリングをね。
「・・・似合うのないと思う。」
「なぜ?」
「おばあちゃんに似合う指輪って・・「!!そ、そんなに待たせはしないよ!」クス・・焦りすぎ。」
「そうだな、来月にでも挙式を「却下。」!!」
こうして二人は同じ道を歩み始めました。
それから数日後、ラフな格好の大佐をみかけた部下達は大佐は実は10代だった!
年齢詐称だ!!としばし騒然となったそうな。
様、ココまで読んでいただきありがとうございます!!
なんか長くなったので最後は強引に終わらせました〜(テヘv
ロイ「何がテヘvだ!私はもっとと
玄米「次はハボック少尉で書こうかな〜」
ロイ「・・玄米、消し炭になりたいか、レアがいいか・・選べ。」
玄米「・・・(滝汗)はい!嫌いor好きだした!!!」
ロイ「逃げたな!!?」
ちゃんちゃん♪
