普段生活している分には特にそう思うことはなかった。
でも、あんたにあってちょっと思うよ。

























理想と現実























大尉!調度良かった、探していたんです。」

お昼を済ませ、司令部の前を通ったとき良く通る声で引き止められた。

「これはホークアイ中尉、なにか?」

いつも思うけど。

綺麗な髪してるな。

「はい、マスタング大佐がこの書類に目を通し確認後提出して欲しいとの事です。」

「わかりました。では後ほど。」

書類の束を受取り再び歩き出す。

俺はこの中央軍部の弁護、法律部に所属している。

弁護、法律部とは軍から犯罪者が出た場合など軍法裁判時に弁護人として被疑者を弁護したり

法律に関する資料を作成管理する部署だ。

「大尉、遅かったな。」

「ラクスマン大佐、食堂が混んでまして。」

「気にするな、この書類を片付けておいてくれ。」

「イエス・サー」

デスクにつき書類を片付ける。

この仕事は自分にあっている、と良く思う。

弁論は好きだし、こういったデスクワークも苦にならない。

そういえばマスタング大佐から書類を預かったんだった・・。

ホークアイ中尉から渡された書類に目を通す。

特に直すところもないし、このままでいいようだな。

後で届けてこなければ・・。

引き出しにしまい、さっさと残りの書類を片付けにはいる。

しかし・・・

「大尉、これもだ。」

「あ!これもお願いします。」

「大尉はいらっしゃいますか?あぁ、この書類なんですが・・・。」

・・・・・・・

や、やっと終わった・・・!!!

次から次へと運ばれてくる書類を片付け終わったのはすでに8時を回ろうという時間だった。

「・・・まずい、まだ大佐はいるか・・?」

書類をてにし、廊下に出る。

司令部まで早足で向かうと、その扉からかすかに光が漏れているのが確認できた。

よし、まだ誰かいるな。

コンコン

「失礼します。」

ガチャ・・バタン。

「やぁ、大尉ではないか。」

「・・・大佐お一人ですか?」

「あぁ、仕事が片付かなくてね。」

そういう大佐のデスクには書類がない。

もう終わって、帰るところだったのだろうか。

「この書類ですが、不備はないようです。」

デスクの前まで行き書類を手渡す。

「そうか、すまないな。」

「いえ、ではこれで。」

「待ちたまえ、少し・・話さないか?」

まさか呼び止められるとは思っていなかったので、驚いて振り向くとすぐ目の前に大佐の顔があった。

「っ!な、なんですか?」

「・・・君は・・綺麗な肌をしているな。」

言葉に詰まっているとすっと頬を撫でられた。

・・・ヤバイ。

「今夜は冷えるそうですね。大佐も早く帰られたほうが「そう怯えるな。」・・・。」

ふいをついて腕を捕まれ抱きしめられた。

男としてはあまり高い身長ではない為か大佐の肩口に鼻が当たる。

「大佐・・お戯れはやめてください。」

軍という空間内ではこういうことは良くある。

女に飢えているというか・・。

だが大佐が女に困ることなんてないだろう。

「君は私が戯れでこんな事をしていると考えているのか?」

「大佐は女性には困らないでしょう。もう放してください。」

「断る、といったらどうするかね?」

ぐっと背に回された腕に力が込められた。

さすがにこの状態では引き剥がすのは難しい。

どうしたものか・・・。

「大佐、放してください。ホークアイ中尉に言いつけますよ。」

「君は上司のことを自分より階級が下のものにいいつけるのかね?」

「大佐の場合最善かと。」

「・・・・・・」

!!

ファーストネームを呼ばれたかと思えば、キスまで許してしまった。

今までも何度かいろんな男から迫られたが、ここまで許してしまったのは初めてだ。

「大佐!いい加減にしてください!」

ふと、女性だったらこういうだろうという言葉が頭によぎった。

「セクハラです。」

「ふっそう言われると否定はできないな。」

いつの間にか壁際にまで追い詰められた。

逃げられないし・・・。

これって・・・貞操のピンチか!?

「あの、大佐・・。」

「なんだ?」

「なんでこんな事するんですか。」

「・・・君を欲してやまないのだよ。惚れた弱みというやつだ。」

あーなんか幻聴が聞こえた。

今惚れたとか言われた気がしちゃったし。

「すいません、なんか極度のストレスから幻聴が。」

「幻聴ではないよ・・。もう何年も前から君を想っているのだがね。」

何年も前って・・・

「大佐がセントラルに来てそんなに「東方司令部にきたことがあるだろう?」・・・。」

東方司令部に・・?

・・・

あ、そういえば3年位前に訪れた記憶がある。

「あぁ、ありますね。」

「その時に君をみかけてね。一目ぼれという奴かな。」

「・・・遠めに女性に見えるかもしれませんが、残念ながら自分は男でして。」

「はじめから男だと承知のうえだ。最初はこの気持ちに気付いたときだいぶ動揺したよ。

 なにせ男に惚れたのは初めてでね。」

「・・・はぁ・・・。」

なんでこんな目にあっているんだ僕は。

男に口説かれるなんて・・・。

ふと、大佐をみれば先ほどのような強気な表情ではなく切なげな表情を浮かべていた。

そのギャップに、図らずも鼓動が高鳴った。

ドクン・・ドクン・・・

やばい、落ち着け。

相手はあの大佐だぞ・・?

?何を呆けているのだね?」

そういえば・・・

「あ、いえ・・。・・・大佐、つかぬ事をお聞きしますが・・。」

「なんだね?」

「大佐は攻めですか?受けですか?」

・・・・って何聞いてんだ俺!?

「・・・くっくくく・・・・。」

どうやらつぼにヒットしたようで・・・。

思い切り肩を震わせながら笑いを堪えている大佐に少しむっとする。

「くく・・・いや、すまない。そうだな、私は君と過ごせるのならどちらでもかまわないよ。」

おかしそうに笑いながらも、その瞳は真剣そのものだった。

「だが、欲を言えば攻めが希望だ。」

やっと笑うのをやめどこか探るような眼差しへとかわった。

先の俺の発言から脈ありと判断したらしい。

「すみません、変な事をお尋ねして。少し気になったので・・別に他意があるわけでは!」

すっと大佐が体を近づけてきた。

壁に押し付けられさらに自由が奪われる。

ゾクッとするものが全身を走った。

「っ大佐!落ち着いてくださいっ・・く・・・。」

首筋を舐め上げられ軽く噛み付かれた。

突然のことに一気に体が強張る。

、どうした?体が震えている。」

あんたのせいだよ・・!

「放してください。」

「・・・ではこうしよう。君が私の物になるのなら解放しよう。」

・・・却下、却下だ俺!

「きゃっ「拒むならここで強引に体を開かせる。どちらが希望かね?」・・・前者で・・・。」

はっ・・・終わったよ・・・。

「きちんと言葉で言いたまえ。」

はぁ・・・もうあれだ、覚悟を決めよう。

この場さえしのげば何とかなる。

「・・・自分は、大佐のものになります・・・。」

「いい子だ。」

すっと体が離れやっと自由になった。

もう帰ろう。

明日から司令部は避けて、引きこもればいい!!

「ではこれで「待ちたまえ、門の前に車を回しておく。すぐに支度して来たまえ。」・・はい?」

なんで?

「一緒に帰るのだから当然だろう。それと、今日から私の家で暮らしてもらう。」

・・・・

・・・・

・・・・はい!?

「何言ってるんですか大佐?一緒に暮らす?」

「当然だろう。君は私のものなのだから。」

・・・・

母さん、俺しばらく母さんに孫の顔を見せてやれそうにないです。






その後、強制的に拉致られ大佐の家で暮らすことになった。

・・・俺が女だったらこれは嬉しいことなんだろうが・・・。

はぁ・・・性転換受けろとか言わないだろうな・・。

・・・言いそうで怖い!!

神よ、どうか大佐を女にしてください・・・。


















あとがき


なんか突発的に書いてしまった〜!!
初☆男主人公ドリーム!!
大佐と暮らすことになるなんて・・きっと大変ですよ〜・・・。