木漏れ日の中ですやすやと気持ちよさそうに眠る愛しい人。

あぁ、どうしてこんなに心を奪われてしまったのか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴檻〜きおり〜

 

 

 

 

 

 

 

「ハボック少尉、大佐をみませんでしたか?」

休憩所でタバコをふかしていると例のごとく現れたのはホークアイ中尉殿。

「いや、知らないっスよ?」

ふぅ・・・

やっぱ仕事の合間の一服は最高。

まいったわね・・

そう呟く中尉の顔はほんとに参ってるときに見せるもので・・。

「まったく、その辺で昼寝でもしてるんじゃないっスかね。」

つい声をかけてしまった。

「そうだろうとは思うんだけど、少尉、探してきてもらえるかしら?」

げっ

「今休憩にはいったばっかなんスけど「急いでいるのよ」」

・・・・・

「ワカリマシタ」

 

 

仕方なく、探し回ること10分。

同僚の話を聞くとどうやら司令部にはいないらしい。

「ってことはあそこだな。」

思わずもれる独り言。

以前、気落ちしていた大佐を連れて行った小高い丘の俺のとっておきの場所。

大佐はずいぶん気に入ったようでちょくちょく行っているのだといっていた。

そして・・

 

 

「あぁ、やっぱりここにいたんスね。」

ついてみれば木に寄りかかりすやすやと眠っている探し人。

「っ」

その寝顔に思わず息をのんだ。

「反則だろ。」

顔が赤くなるのがわかる。

タバコを抑えるふりをして手で顔を覆い、なんとか落ち着こうとしていると・・

「ハボック?」

「へ!?」

いきなりかけられた声に変な声を出してしまった。

は、はずい・・・・

「大佐、迎えに来ました。」

精一杯の強がり。

俺ってなさけねぇよな、今。

「ほぅ?で、何故顔が赤いんだ?」

うっそこは放っておいてくださいよ・・・(泣

「なんでもないっ「上司に見とれていたのか?悪いが私は男だ。」」

俺の言葉をさえぎり、いかにも楽しそうに笑う大佐。

その言葉がぐさっと俺に刺さるのがわかった。

はは・・・

納得。

「大佐、礼をいいますよ。」

「礼だと?」

「この気持ちに気づかせてもらえたんで。」

「なんのっんぅ!?」

今度はこっちの番とばかりに大佐の言葉を口ごと覆う。

やべ・・可愛い・・・。

「ん・・」

顔を真っ赤にし、木に押し付けられ身動きができない大佐。

その柔らかな感触を楽しみたくてしばらく離れられなかった。

「「はぁ・・」」

口を離してやると目にはうっすらと涙。

頬は上気し、もみじを散らしたように美しい。

「大佐、綺麗っス。」

「ば、ばか者!き「好きだ。」っハボック!」

抱きしめ、その耳元で囁く愛の言葉。

俺って、もしかしてキザ・・・?

「・・・?あれ、ぼんってやらないんすか?」

普段なら、消し炭にしてやる!ってなるはずなんだけど。

「その言葉、信じてもいいのか?」

この言葉には驚いた。

もしかして・・

「大佐、期待しちゃいますよ?」

「私の質問にっん・・「はぁ、冗談でこんなこと言いませんよ。」」

不安そうな彼の気持ちを吸い込むつもりでしたキス。

俺はこんなに好きなんスよ?

そういって抱きしめたら、ばか者、そういって俺の背中に回された

大佐の腕。

なによりも強力に俺を捕らえた檻。

「俺はもうあんたの檻のなかっス。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、勤務時間に何故ここにきたのだ?」

あ!!

「中尉が大佐に急ぎのようがあるって迎えにきたんでした。」

「ば、ばか者!そういうことは先に言え!」

だってあんたが可愛い顔して寝てるから!

って言葉は黙っておいて(汗

「大佐が抜け出すからいけないんス。」

 

 

その後、意外にも俺はお咎めなしだった。

「少尉、大佐を探してきてくれてありがとう。助かったわ。」

そういって引きずられていく大佐。

はは。

後でコーヒーでも持ってくかな。