この月を君も見ているのだろうか。

美しく光を返す空の鏡。

君はこの月のもとになにを想っているの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月鏡〜つきかがみ〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンとした空気の張り詰める鍛錬室。

石壁で冷えた流れはキンキンと音を奏でているようだ。

その醒めた空気の中、神田は六幻と向き合う。

目隠しで光を、空間を閉ざし、集中力を高める。

六幻・・俺はお前を制御しきれているか・・?

きぃ・・・

突然聞こえた音に思わず戦闘姿勢にはいる。

「か、神田。僕です。六幻をおろしてください。」

ちっ

「邪魔するな、出て行け。」

「コムイさんが呼んでるんです。」

任務か・・・

目隠しをとり、上着を羽織りコムイのところへ向かう。

「邪魔してすみません。」

「普通ノックぐらいするもんだ。」

「・・・その、綺麗だからつい見たくて・・・」

「あぁ?」

立ち止まり振り返ると突然顔を赤くしうつむいたもやし。

何がいいてぇんだこいつは。

「普段も綺麗だけど、集中しているときの神田はもっと綺麗なんです。」

そうぬけぬけと言い放ったもやしはこれでもかという笑顔を向けてきた。

「俺は男だ。んなこといわれて喜ぶかよ。」

綺麗だ綺麗だと女扱いされこめかみに怒りの筋が浮き上がるのが自分でもわかる。

「す、すみません・・。」

「コムイのところに行くんだろ。早く歩け。」

歩くよう催促しても、下を向いて動こうとしない。

こいつ・・俺を怒らせてぇのか?

「神田は僕が嫌いですか?」

やっとしゃべったと思えば・・

「嫌いだ。「僕は好きです。」」

「仲間だからとか友達としてじゃなく、一人の男として神田が好きです。」

・・・・・

こいつ、なにを・・!!

「だ、抱きつくな!」

一瞬思考が停止し、もやしが抱きついてきたのをかわすことができなかった。

思い切り抱きしめられ息が詰まる。

「神田・・・」

ドクン・・・

耳元でいつもの甲高い声とは違う、

低く甘い声で名前を呼ばれ思わず反応してしまった体。

「もやし、すぐにはなれねぇと斬る。」

六幻に手をおき、いつでも発動できるように意識を手に集中させる。

「嫌です。離れても斬るつもりでしょう?」

「!!!」

奴がしゃべるたびに首筋にかかる息に意識がそがれる。

「くす・・神田可愛い。」

こいつ!

「いい加減にしろ!」

力をいれ突き飛ばした・・・はずだった。

「な・・「僕の力、なめないでください。」・・っ」

ひょろい癖にどこにこんな力・・・!

「少し、いじめてもいいですか?」

十分いじめてるじゃねぇか!

「なにしてんだ?」

ばっ

「リーバーさん、神田の団服にごみがついていたんで。」

「なんだ、驚いたじゃねぇか(笑)早くしろよ?室長、寝ちまうぜ。」

「はい。」

な・・?

「神田?」

もやしのすばやい行動に一瞬頭がついていかなかった。

俺は・・・

「神田・・」

俺の鍛錬はむ・・・!!!!!

「んぅ!?!??」

「「はぁ」」

「くす・・そんなすきだらけだとキスしちゃいますよ」

にこっ

ものすごい笑顔。

そして唇に、口内に残る感触。

「さぁ、いきましょう。」

「て・・てめぇ!死ねって人の話をきけ!!」

「あはは、早くしないとおいていきますよv」

コンコン・・

「コムイさん?」

うがごぉ〜

「・・・てめぇのせいだからな。」

「あは、まいりましたね。・・リナリーが結婚するって本当ですかね?」

「リナリー!!!!!!!」

「コムイさん、なんです?」

こいつ・・・楽しんでるな・・。

「あぁ、アレン君、神田も。早速だけど神田、六幻だして。」

な・・

「なに?」

「メンテナンスだよv」

断るまもなく後ろから回り込んでいたリーバーに六幻を奪われた。

今日の俺はおかしい。

こんなに簡単に・・

「盗れるとはな(汗)」

斬られるとはらはらもんだったぜ。

さっさとコムイに渡し、席に着くリーバー。

「てめぇ・・・」

「あ、もういいよ二人ともv六幻は一週間は預かるから。はいはいでてったでてった」

バタン

「・・・神田、僕の部屋にきませんか?」

「断る」

「怖いんですか?」

「誰がだ!」

「じゃぁいきましょうかv」

はっ・・

まさか、乗せられた・・・?

「なに企んでやがる。」

「くす・・さぁ?お楽しみです。」

 

 

 

今日は散々だ。

もやしに遊ばれるは六幻はもっていかれるは・・。

くそっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あら、短編のつもりが続きそう^^;