「ね、別れよう。」

「は?」

「バイバイ。」

「ちょっ待て!」






























ストレートウェイ
































「はぁ・・。」

「53回目だぞ〜!!」

「・・・ランボ君・・数えなくていいから・・。」

今日は学校は休み。
かといって出かける気にもなれなくて引きこもり・・もとい子守中。

「姉さん、部屋の空気が淀んでるって・・!!」

「ツナ〜慰めなさいこの姉を!!!」

「んな!慰めて欲しかったら首絞めるなって〜!!」

どたどたと暴れながらも、本気で嫌がるぞぶりはなく甘んじて私にいじられている優しい弟。
綺麗な栗色の髪に同じく綺麗な瞳。
私とは似ても似つかない。

「はぁ・・・。」

「55回目だぁぞぉ!!!」

「54回目でしょ?」

「あぁもう!!散歩でも行って気分転換してこいよ!!」

「却下。」

もうなんていうか、ため息しか出ない。
大好きな人に別れを告げて2週間。

「・・後悔してるんだろ?メールでもしてみたら?」

「もうアドレス消しちゃった。」

大好きだから、別れを告げた。
遠距離っていうのもあったけど、それ以上に彼の目に私が映る事が少ないのが辛かった。
もっと私だけを見てほしい。
私は我がままだから。
でも、彼にはファミリーがある。

「そうだよ・・私なんかにかまってる時間なんてないんだから・・。」

「・・・・姉さん。」

・・・・・

「あぁ!!もうやめだ!!こんなうじうじしてたらうじ虫にたかられる!!弟よ!ちょっと新しい恋を探してくる!!」

「っ・・ちょっ!?・・・はぁ・・・・。」

「55回目らぞ〜!!!」

「オレは一回目。」

そうだ、うじうじしてたって仕方ない!!
思い立ったら即行動で、私は呆然とするツナをよそに部屋を飛び出した。
リビングにいたお母さんとビアンキちゃんにでかけるとだけ伝えて、家を出る。

「ん・・気持ちい風。」

家を出た途端、暖かくて柔らかな風に包まれた。
どこか、寂しさが湧いてくる。
彼の温もりに似ていたから。

「・・・またブルーになってるし・・、しっかりしろ!新しい恋を見つけるんだ!!」

という事で、気を入れなおし街へと繰り出す。
春物の可愛い洋服が店先を飾り、通る人々もどこか穏やかだ。

「あれ?さんじゃないですか〜!」

「ん?ハルちゃん!買い物?」

「はい!今日は参考書を買いに!」

「偉いね〜wツナにも見習わせたいよ。」

「そういえばさんにお聞きしたい事がありました!!」

聞きたいこと?
ツナの事?

「なに?」

「今お付き合いしている男性とかいらっしゃいますか!?」

「え?いな「おう、いるぜ?」っ・・!?」

「はひ!?」

「悪いが、こいつ借りるぜ!」

「えっちょっ!?」

「ハイです〜!!さんお気をつけて〜!!」

いやいや!!
お気をつけてって助けてよ!!?
突然背後から抱きしめられたと思ったら、今度は腕を引かれどんどん人気のない路地へと入っていく。
その力が強くて、そして掴まれている腕に感じる彼の体温が嬉しくて、心臓がうるさく鳴り響く。
とうとう人気のまったくないビルに連れ込まれて、壁に押し付けられた。
すぐ目の前に、大好きな彼がいる。
会いたくて、仕方なかった彼が。

「・・ディーノ・・。」

、会いたかった。」

とさっと私の肩に彼の頭が乗せられた。
首筋から聞こえる彼の声に、体が自然と震える。

「・・離して、なんの真似?」

だめだ。
今流されたら、またあの辛くて、苦しい思いを繰り返す事になる。

「離さねぇって。もう、どこにも行かせない。」

少し、声が低音になる。
機嫌が悪い時の声だ。

「こんな事して、セクハっん!!」

セクハラで訴える、と続くはずだった言葉は彼の口内へと吸い込まれた。
噛み付くような、激しいキス。

「っ・・言っただろ?離さない。俺はお前と別れたつもりはない。」

「・・・苦しいんだって・・一緒に居ると辛いの!」

「何が辛い?」

「全部だよ!いつだってファミリー優先で・・私は私だけを見てほしいの!我がままだから!だからっ・・もう離して・・。」

思っていたことを吐き出して、涙も溢れて。
もうかっこ悪いことこのうえない。
ただのやつ当たりだ。
そして甘え。
まだディーノに甘えてる。

「はぁ・・俺はいつだってお前しかみてねぇって。ファミリーは大切だ。だが、それ以上にお前が必要なんだよ・・。」

ぎゅっと抱きしめられる。
荒い吐息と、ドクドクと煩いくらいひびく心音。

「・・心臓・・すごい音してる・・。」

「愛してるやつ抱きしめてるんだから当然だろ!」

「ふふ・・・。」

どこか、ツナに似てる。
そう思ったら、なんだか楽になった。
この人は真っ直ぐで、不器用な人。
両方をバランスよく見るなんてできなくて。
いつも片方に全力を捧げてしまうから、もう片方が浮いてしまう。
それはつまり、全力で愛してくれるってこと。

「・・ディーノ、私のこと好き?」

「・・あぁ、好きだ。」

「誰よりも、私のこと見てくれる?」

「もう見てるっての。」

「大好きだよ・・?」

「なんで疑問系だよ・・。」

こうして、私達は元のさやに収まることになった。
後でリボーン君がそっと、教えてくれた。

「あいつお前に振られたって大泣きしたらしいぞ。」

「え!?」

「ロマーリオからの伝言だ。もうボスを泣かせないでくれ、だとよ。」

「はは・・。」

それは私の台詞。
私だけをみてね?
じゃないと、今度こそ・・・わかるよね・・?





「ディーノ。」

「ん?」

「名前、呼んで?」

「・・、来いよ。」

楽しそうな笑みを浮かべて、両手を広げる愛しい彼。
彼の希望通り、胸に飛び込んで見上げれば優しい真っ直ぐな瞳が私を映し出していた。















あとがき

・・・・
・・・・
レッツゴーネクストへ!?