今日はいろいろあった。

大学で男友達になぐりかかられるし。

でも、それをとめたのはまったく知らない人。


そして彼はこう私に言い放った。

「19代目、怪我はないっすか?」

・・・・・

は?






















舞い上がる光華

















「あの、どこに連れて行かれるんですか私?」

大学で揉め事を起こし、さぁ殴りあいだ!って時に邪魔に入ってきた赤髪男。

今その男に拉致られなぜかリムジンの中。

運転手はなにも話さないし。

この横にいるうちをさらった赤髪男もだんまりを決め込むし。

あと話しかけられるのは・・・

「あの、おじいさん?私、どこにつれていかれるんですか?」

目の前に座っているスーツを着込んだ初老の男。

「このような乱暴、お許しください様。」

「いや、だから事情を説明してください。」

ちらっとうちの横に座る例の男に目配せする。

するとちっという舌打ちとともについに口を開いた。

「俺の名は阿散井恋次。京都の老舗呉服屋、蒼井屋の組頭だ。」

「は?そんな人がなんで・・?」

「あんたがその呉服屋の19代目当主だから。」

「だからなんでそうなるんだって聞いてんだよ。」

いい加減、いらいらしてつい男言葉が出てしまった。

だめだめ、なんとか抑えて。

「・・・あんたの名は朽木だからだ。」

「違います。です。」

「朽木家から養子に出されたんだ。」

・・・え?

「そんな話「聞いたこと無かろうが事実だ。」っ・・」

「証拠は?」

「DNA鑑定結果でございます。」

目の前の初老の男がそういいながら一通の封筒をだして渡してきた。

中にはこの二つのDNAは一致しますと書かれた紙切れ。

「協力した覚えは「朽木家に残されていたへその緒とあんたの大学で採血した

血液が一致した。」・・言葉をさえぎらないでくれる?」

ひくっこめかみに力が入る。

・・・ん?

うちが朽木家のものだとしたら・・

「京都に・・?」

「あぁ。」

・・い、

「いやったぁ!京都にいけるなんてvしかもただv」

「・・・お前、根性座りすぎ。」

あきれた様に阿散井がこちらを見る。

「あなたのしったことじゃございません。」

嬉しいvけど・・ん?

「連れて行って、どうするの?」

「19代目当主につくための修行をしていただきます。申し遅れました、

朽木家で教育係をさせていただいております高見と申します。」

「あ、ご丁寧にどうも・・蒼井屋・・?」

って確かテレビでもよく紹介されてるあの・・?

「あんたの店だ。」

「いや違うから。」

「法律上はすでにあんたのだぜ。」

はい!??

なんでですか・・・

「ちょっと待って。だって!こういうのは長男とかがつぐわけでしょ!?

養子に出したようなどうでもいいのを当主にするなんておかしい!」

そうだよ、養子に出したってことはいらないってことでしょう!?

そんな老舗の呉服屋なんて貧乏なわけないし!

「どうでもよいなどございません。」

「は、はい・・」

高見さんの剣幕に思わず引く。

こ、怖いよ・・・(泣

「まぁあれだ、事情は向こうで話すからゆっくりしとけ。」

ぽん、と頭の上に手をのせ撫でられる。

あ、そういえば頭撫でられるのはじめてだ・・・

こんな気持ちよかったんだ・・・

「?おい?って寝てるし。」

「疲れているのでしょう。阿散井殿、もう少し言葉遣いを「へぇへぇ、わかり

ました。」・・わかればよろしい。」









「い・・おい!起きろっじゃなくて起きてください!」

「・・ん?あれ・・うち・・」


「寝ちまったんだよ。ついたぜ、起きろ。」


「ん・・眠い・・ZZzzzz」

「この・・(怒」





ん・・・

気持ちい・・・

温かくて・・・

・・・・・?

「へ?何故に布団?」

「起きられましたか?」

・・・え

「だ、誰!??」

目の前にはうちを覗き込む見知らぬ少女。

可愛い子・・・

「あ、朽木ルキアと申します。」

朽木・・?

「ルキア・・ちゃん?」

どうみても年下の女の子。

高校生くらいかな?

「はい、姉さまが起きられたら着替えをと。」

姉さまって・・・(汗

すっと差し出された綺麗な着物。

って着物!?

「ごめん、着付けできないんだ。」

今のご時勢、着物を自分で着られる女性がどれほどいると

いうのだろう。

「はい、私が着付けます。」

・・えぇ!?

って、あそうか、呉服屋の子なら納得。

するするとあっというまに着せられた着物。

綺麗な白地に淡い藍色で描かれた桔梗が印象的で・・

「た、高そう・・・」

「姉さま?こちらです。」

「あ、はい。」

着慣れない着物。

そのうえ綺麗に編み上げられた髪。

こんな格好成人式でもしないよ・・。

「ルキアちゃん器用だね?ありがとう」

後ろをついていきながらお礼をする。

だって、言う暇なかったから。

「いえ、この部屋です。兄様、姉さまをお連れしました。」

「ルキアか、入れ。」

立派なふすま・・・

とか見とれていたらルキアちゃんに手を引かれた。

部屋の中にいたのは・・・

それはもう綺麗という言葉が似合う若い男性。

綺麗な黒髪にあまり見たことのない髪飾り。

「姉さま!」

「っあ、ごめん。なに?」

、傍へ。ルキア、下がっていろ。」

「はい、失礼します。」

え!?

引き止めるまもなく部屋をでてしまったルキアちゃん。

部屋には綺麗な男の人と二人きり。

どうしろと!?

。」

「は、はい!」

とりあえず、呼ばれるままに傍へ。

「もっとだ。」

もっとって(泣

もうすでに座布団2枚くらいの位置。

さすがにこれ以上たって近づくのは失礼なので一度ひざをつき

するようにして傍へ行く。

もう、手が届く距離・・・え・・?

、よく来た。」

手が届くと思ったらいきなり引き寄せられ彼の胸の中に抱きとめられて

しまった。

はっきりいって、心臓やばいですお兄さん。

「私の名は白夜。そなたの兄だ。」

あ、お兄さんなんだ。

「え!?」

思わず上を見上げれば端整な顔が目の前いっぱいに・・

急上昇する体温。

「驚くのも無理はなかろう。だが事実。」

こ、こ、こ、こんな綺麗な人がお兄ちゃん!?

だって、うちと顔のつくり違うから(泣

「よく似合う。」

「あ、ありがとうです。」

もういっぱいいっぱい。

誰か何とかしてください・・。

、すべては私からではなく高見から話される。私は

これから出ねばならん。」

「は、はい。いってらっしゃいです。」

そうしてください。

もう心臓破裂のカウントダウンはいってますから。



お兄ちゃん?白夜さん?がでていってすぐ入れ違いにはいってきた高見さん。

彼の話はもう混乱を誘うばかりだった。




「その、私と白夜さんの姉が18代目をついだものの病で他界。

だから次の当主をってのまではわかったんですけどひとついいですか?」

「何故白夜様ではなく自分なのかと?」

「はい、それにルキアちゃんだっているじゃないですか。」

そう、何故養子に出したうちなの?

関係ないはずじゃん!

「白夜様は、護廷六番隊の隊長をなさっているので当主につくことはできません。

ルキアは養子、故に血が違います。」

・・・はい?

ごてい・・・なんだって?って

「え!?ルキアちゃんが養子!?」

「説明させてくださいませ。朽木家は代々二つの顔をもっております。

一つは表の顔、蒼井屋の当主。そして・・護廷隊への入隊及び副隊長以上への

昇格。故に朽木家ではある掟が定められました。

一つ、男児生まれしは護廷隊へ入隊させし。

一つ、女児生まれしは蒼井屋当主とすべし。」

「な、じゃぁ男だけだったら蒼井屋づぶれるんじゃ・・」

「はい、ですので必ず最低でも男一人、女一人を産むことを朽木家の女は

定められてございます。そして、先々代の17代目は先代当主紫様、白夜様、そして

様をお生みになられました。」

なんか・・そこまで決められるのって・・・

「え、じゃぁ・・」

「そして、様は紫様になにかあったときに、また朽木家の血を途絶えさせぬ

ために養子に出されたのです。たとえ朽木家になにかあっても、他家に出されることで

朽木の血は守られる。先々代、あなた様のお母様はそうお考えになられた。

そして、養子に出されたあなたの数合わせにルキアが養子にきたのでございます。」

な、な・・・

「最低!血とか・・なにそれ!ルキアちゃんはうちの抜けた穴を埋めるために

つれてこられたの!?そんな「姉さま。」」

っ・・

振り向くと、いつの間にかルキアちゃんが後ろに立っていた。

いつから・・

「ルキア、声くらいかけぬか。」

「高見様、申し訳ございません。姉さまは度重なる話にお疲れかと。」

「うむ・・様、少し休みましょう。続きは午後よりお話いたします。」

「姉さま、行きましょう。」

何か言う前に手を引かれ今朝起きた部屋へとつれてこられてしまった。

ルキアちゃん・・・

「ごめんなさい、無理にお連れして・・っ姉さま・・?」

気づいたら、彼女を抱きしめてしまっていた。

だって、あまりにも健気で・・きっとたくさん傷ついてきただろう。

さっきの高見さんとのやり取りを見ていれば暗に想像できる。

「ごめんねルキアちゃん・・ごめんね・・・」

しばらく涙が止まらなかった。

その間、ルキアちゃんはうちの腕の中で大人しく抱かれていてくれて・・。

「姉さま、落ち着きましたか?」

「言葉、普段使ってる言葉でいいよ、敬語なんて使わないで。」

「しかし・・「二人きりのときは、ね?」。。はい・・。」

そういってルキアちゃんは優しく、でも悲しそうに笑った。

「姉さま、お昼は外で食べませんか?良い精進料理屋を見つけたのです。」

少し、男っぽくなった口調。でも、品がある。

むぅ、うちなんかもろ下品とか言われそう。

「そうだね、行こうv」

京都の町は好きだ。

外を歩けるという期待に暗い気持ちは消えていく。

「これは兄様から預かった姉さまの財布です。」

「あ、ありがとう」

中身なんて気にせずさっさとしまう。

じゃぁ行こうと玄関に出ると阿散井がかえってきたところに

鉢合わせしてしまった。

様、どこへいくんスか?」

「精進料理だ。」

「な、ルキア!お前言葉・・・ってあ・・(汗」

「あはは。気にしなくていいよ。堅苦しいの嫌いだから。

恋次君も普通に話したら。二人が幼馴染って聞いてるし。」

「だが・・「いいかいいから、こうやってる時はいいじゃんv」。。」

と、言うわけで三人で繰り出すことに。

「うわぁ、このかんざし綺麗・・・あ、この帯止めも!」

「ふふ、姉さまは面白い。」

「つうかがきだな。(ぼこっ)って!何しやがる!」

「がきって言った罰(笑怒」

まったく、でもいいかもこういうの。

今までずっと自由になりたかった。

苦しい、狭い世界に押し込まれてきたから。

きっと、もう少ししたらもっと狭い世界に押し込められる。

それまでのわずかな自由を・・

めいいっぱい楽しもう。