そこは湿っていてかび臭くまるで洞穴のよう。
ところどころにどす黒い斑点。
そこに足を踏み入れて、意識を保っていられた人なんていない。
今日は・・じゃなくて今日もついてないな・・・。

    













命がけ




















えっと・・・
今日は三番隊の仮眠室の清掃で・・・
どんっ
っ!!??
「す、すみません!!ぼ〜っとしてました・・。」
予定を確認しながら歩いていたら前からきた人と思いっきりぶつかってしまった。
僕はしりもちをついていて、周りには散乱した書類。
「・・・あんさ、前見えてないわけじゃないっしょ・・・。」
「本当にごめんなさい!!!」
慌てて書類を拾い集め、ぶつかってしまった人に差し出す。
「あ、ありがと。ま、こっちも悪いし気にしないでいいから。」
さっきとは打って変わって優しい声が上から降ってきた。
おそるおそる顔をあげると、声と同じ優しい笑顔。
どこの隊の人だろう・・・
綺麗な笑い方・・・
っは!
「すみませんっ!失礼します!」
つい見とれてしまっていた。
思わず謝りその場を離れる。
どうしよう・・
顔が赤くなったの見られちゃったかな・・・。
って!
どうしよ〜!!
気にしなくていいって言ってくれたのにあんなわかれ方しちゃった・・
はぁ〜
「よう山田!ちょうどいいとこに来たな!」
そう言って僕の肩を叩いたのは同じ四番隊の人。
なんか嫌な予感が・・・
「いや〜!実はさ、隊長に至急来るように呼ばれちまったんだよ。
 っつ〜ことで、俺の掃除場所やっといて!
 場所は第44番倉庫な!じゃ!」
えっ!
44番倉庫って!
「ま、まってくだ・・・いない・・そんなぁ〜・・・」
第44番倉庫。
そこは誰もが・・隊長格ですらよりつかない腐の場。
「う、ひどいです・・・」
誰もいないのに口からこぼれた本音。
あそこだけは頼まれても断り続けてきたのに・・・。
そして
「・・・(ゴク)ついにきちゃった・・・」
44番倉庫の前。
倉庫は機密性が高いはずなのにすでに嫌なにおいがたちこめている。
おそるおそる鍵を差込むとピッと言う音とともに開錠された。
匂い対策に口元に布を巻き、左手に掃除道具一式。
さぁ、出陣です!!
「そんなとこで何してんの?」
「うひゃぁっ!!!!」
がしゃん・・カラカラカラ・・・
いきなりかけられた声に驚き掃除道具を落とし叫んでしまった。
でも、どこかできいたような声・・・。
ゆっくり振り向くと先ほど廊下でぶつかってしまった彼女が目を点にして立っていた。

「失礼します。」
がら・・・
「ん?ちゃんvどないしたん?」
「どないしたん?って、隊長が書類もってこいって言ったんじゃないですか。」
そう、朝っぱらから隊の職務室に入ってきたとたん大切な書類をおいてきてしもた!
すまへんけどもってきてくれへん?
といって、頭を下げられたのだ。
周りには仕事をしている部下がいるというのに隊長が頭を下げるなんて無神経すぎる。
と、思いながらも吉良副隊長のすまなそうな視線を受けしぶしぶ取に行ってきたのだ。
「あっ!そうやった!っと、これやな?」
手にもっていた封筒に入った書類を受け取り確認を始めている隊長をよそに
仕事にはいろうと机につく。一時間ほど空けていただけなのに机には山のように資料や書類。
なんでや・・・。
「ん?一枚たらへんよ?」
・・・
「え?」
「43枚のはずなんやけど42枚しかあらへんよ?」
そんな!!!
開けてないのに!!
って
「あ」
「あ?」
「すみません隊長!すぐ戻ります!」
あの時!
廊下でひ弱そうな男の子にぶつかった時どこかに落としてきたんだ!
すぐに目星がつき、急いでそこに戻る。
とした事が!
こんな失態をするなんて・・・!
程なくして、現場に着きあたりを探すが見当たらない。
どうしよう・・・!
えっと〜・・・
がさがさ
外におり、植木なども調べてみるが
「ない(汗」
こんなことって・・・・。
B「あっれ〜?そういえばお前例の場所の掃除じゃなかったか?」

誰?
A「あぁ、めんどいから山田にまかした。」
B「まじで!?いいのかよ?」
A「いいって!あいつ掃除以外役に立たないじゃん!
俺はあいつのために貢献してやったんだよ。」
B「あはは、物はいいようだな!でも、そうだよな〜、
山田が役に立ってるとこ見たことねぇし」
A「だろ?あんな臆病でちびでがりがりなのがよく死神になれたよな!」
AB「「あはははは」」
・・臆病でちびでがりがり・・・・・
「あんたたち。」
「「っ!」」
A「な、誰だよ?」
B「ばっばか!三番隊第三席じゃん!!」
A「えっ!?」
「おい」
どすぼか
AB「「って〜(泣)」」
人のことを無視した挙句呼び捨てにするとは・・・。
頭殴るだけじゃ甘いな、うん。
B「その、それで俺たちに何か・・・?」
はっ目的を見失うとこだった(汗
「あ、そうそう。今あんた達が話してたのって、黒髪のおかっぱでひ弱そうな感じの男・・?」
A「あ、たぶんそうです。」
やっぱし。
もとの責任は向こうだし手伝わせるかな。
「で、そいつの名は?」
A「四番隊所属山田花太郎です。」
四番隊か・・・。
ならの一存で動かせるな・・・。
「山田ね。何処にいる?」
A「・・えっと・・・。」
「そういえば清掃場所押し付けたみたいな事言ってたね?」
A「・・・(汗」
B「もう諦めろって。第44番倉庫です。」
ぼこばきどすっ!!!
A「うぐぅ・・・」ばた
B「!!!!!」
「てめぇ・・最低なやろうだな・・卯の花隊長に報告しとくから覚悟しとけ!!!」
山田に仕事を押し付けたやつに3発ほど思いっきり殴ってやった。
よりにもよって44番倉庫だ!!??
急いで倉庫に向かって走る。
「まだ生きてればいいんだけど・・」
二分ほど全速で走ると前方にたたずむ人影がある。
失速し背後に回るとそれは間違いなく今朝ぶつかった山田だ。
後姿でもわかる。
こんな貧弱な死神珍しいし。
なにやら倉庫を見つめて動かないので、しばし様子を見る。
一分・・・二分・・・・・・・
なにやってんねん!!!!
いい加減に痺れが切れてこちらから声をかけてやる事に。
だって気づきそうにないし。
「そんなとこで何してんの?」
「うひゃぁっ!!!!」
がしゃん・・カラカラカラ・・・
「・・・・」
どきどきどき・・・
あまりにも過敏な反応にこちらが驚いてしまった。
なんていうか・・本当に死神?
びくびくこちらを振り返ってきた山田。
を見るなり驚き、そしてほっとしたような顔になったかと思えば
すぐに申し訳なさそうな顔に。すごい・・
これが百面相・・(←違っ!!)
「あ・・先ほどはすみませんでした(慌て)」
って、まだ気にしてるよ・・・。
「いや、いいけど。で?何してたの?」
あまりにも怯えていてはたから見たらうちが恐喝しているように見えるかも。
「あ・・心の準備を・・・」
なるほど・・・
でもいくら心の準備をしたって・・・
「無駄だね。君の霊圧じゃはいった途端に意識を失うよ。」
そう、ここは普通の死神じゃとうてい入ることの出来ないところ。
だが四番隊の一部の死神はこの威圧に耐えるすべを持っているため清掃を任されている。
しかし、彼の場合は論外だ。
あきらかに普通の死神より霊圧が低く、威圧に耐えるすべも持っていそうにない。
こんな子に押し付けるなんて・・・
殺す気だったんかあいつ・・・・。
「・・・わかっています・・・でも頼まれましたから・・・」
わかってて入る?
ばか!?
「頼まれたんじゃなくて押し付けられたんでしょ?それなのに?」
押し付けられた
という言葉に少し肩を震わせ視線を泳がせている。
嘘がつけないタイプだな。
「・・・その、でも誰かがやらないといけない事ですし・・・」
今にも泣きそうな表情。
やば・・・
「別に泣かせる気はないんだけどさ(汗その、ようは心配していってるわけ。
悪い事は言わないから、他の人にかわってもらいな。」
「・・・いえ、僕がやります。」
きっとこちらを見ると、勢い良く戸を開け中に駆け込んでいった。
「ちょっ!っとに!待ちなっ!!」
慌てて追いかける。
と、淀んでいた空気に流れが。
「・・換気口を開いたのか・・中々やるじゃん?」
その時
どさ・・
と、何かが倒れたような音が。
「ちっだから言ったのに!」
すぐに音のほうに走るとうつ伏せに倒れている山田を見つけた。
抱き起こしてゆすってやる。
「おい!大丈夫?今外に
「待って下さい・・・大丈夫です。」
そう言うとゆっくりと体を起こしほうきに手を伸ばす。
「山田・・・あんた根性はあるね。」
いやいやだったろうに・・・
任された事を最後までやり通そうとするその意思の強さに驚いた。
「僕、あまり役に立てないから・・・任された事は何があってもやり通したいんです・・・」
「えらい!!その心意気気に入った!特別にも手伝ってあげる。」
「えっでもお仕事があるんじゃ・・・」
「大丈夫!さて、じゃ雑巾貸して!ほら、ぼさっとしない!!」
「は、はい!」
ぱっと笑顔をみせ一生懸命に掃除を始める。
なんかこう・・・小動物みたい?
「・・・可愛い・・・」
「?何か言いました?」
「えっ///何にも?ほらほら!手がお留守になってるよ!」
「あ、すみません(慌て」
まったく・・・
やばいかなぁ〜
惚れたのかも・・・・?

いきなり現れ掃除を手伝ってくれている彼女。
ちょっとクールな感じだけどとても優しい人だと思う。
僕が威圧に絶えられなくて倒れそうになる度に彼女が支えてくれて。
すごく恥ずかしいけどその暖かさにもっと触れていたいと思う僕は最低かな?
「どした?気分悪い?」
「え、いえ。大丈夫です(微笑)」
ぼーっとしていた僕を心配してのぞきこんでくれた。
その漆黒の瞳には明らかに不安の色。
僕が弱いから。
もっと強かったら僕が彼女を支えてあげられるのに・・・・。
「っ!!!山田!?」
そう思ったら体が衝動的に動き彼女を抱きしめていた。
僕よりも少し背の高い彼女。
ちょうど彼女の首筋に僕の頭が埋まってしまう。
とてもいい香り。
暖かで柔らかで・・・・
「・・・泣いてる?」
はっとした。
僕の頬には涙が流れていて。
僕は泣いてるんだ。
「・・一人で頑張ってきたんだね。今はしかいないし・・思いっきり泣きなよ。」
「うっ・・っく・・う・・」
彼女の言葉一つ一つが体の芯まで染みこんで来る。
あぁ・・・
なんて気持ちいいんだろう・・・・
「大丈夫。これからはが傍にいたげるから・・」
そう言うと僕をぎゅっと抱きしめてくれた。
もう一人じゃないんだ・・・
もう・・・・・



おまけ
「ぐす・・あ、ところでまだお名前を聞いていませんでしたね・・・」
「あっそうだっけ。は三番隊第三席、。改めてよろしく!って・・どした?」
「あ、あ、あ・・・三番隊第三席・・・あの破壊の・・・
ばこっ
「〜っすみませんすみません〜(泣)」
「ったく(怒)ま、いいけど。今度言ったら・・・わかってる?」
「は、はい!・・・あ、あの、そういえばどうして僕の名前・・・それに何故ここに?」
「ん?名前はあんたに仕事押し付けたやつに聞いたよ。ついでにぼこっといたから。
んで何で来たかというと・・・あ、あぁっ!!!!!!!」
「(ビクゥ)ど、どうしたんです・・・?」
「書類!ねぇ!廊下でぶつかった時書類を一枚なくしたんだよ!見てない!?」
「い、いえ(汗)」
「どうしよう・・・(滝汗)殺される・・・?」
「!探しにいきましょう!ここはもうだいたい終わりましたし・・・僕も手伝いま
「当然じゃぁ!そのために迎えに来たのに!!いくぞ!」
「は、はいっ(汗)」
その後二時間探し続けたものの見つからず、仕方なく市丸隊長に報告に行くと・・・
「あっ!ちゃん!探したんやで?
あの書類、もとから向こうのミスではいってなかったんやて。」
「「・・・・」」
「ん?君誰や?」
「あ・・僕は四番隊に所属している山田花太郎です・・・。」
「ふ〜ん?それでなんでここにおるん?」
「それは
「おい・・・いい加減にしましょうや隊長・・・・」
さん?(汗」
ちゃん、なんかオーラがどすぐろいで?」
「ふ・・・吉良君。悪いけどたった今から休暇にしといて?」
「え、うん。かまわないけど・・・」
「そういうことですから隊長、これは個人の恨み・・・覚悟しろや!!!!!」
「なっ落ち着きいちゃん(汗)不可抗力や!!!山田!ぼさっとしとらんと止めや!!」
「え、え?さん。落ち着いてくだ
「落ち着けるか!!!!!!ふはははは!全部ぶっ壊してやる!!!!」
吉市「「・・・!!お、おちつ
「問答無用!!!!」
がっしゃーん!!!!
・・・・・・・・
「花?お茶でも飲みに行こうか。」
「・・・えっ、あ、はい(滝汗)」
二時間後、ぼろぼろになった三番隊職務室から爽やかな笑みをたたえた少女と、
 怯えている少年が出て行ったそうな。
                          ちゃんちゃん♪







あとがき
玄「花君難しいよ!!」
花「す、すみません(汗」
玄「ま、いいけどさ〜」
ギ「ようない!!なんでこんな目にあわなあかんの!?」
吉「そうですよ!」
玄「え〜、だってなんかたまには情けないギンさん書きたかったんだもん♪」
吉「僕を巻き込まないでください・・・・(怒)」
ギ「・・許せへん・・・・・だいたいなんでこんなやつにちゃんをわたさなあかんのや!!」
玄「え?本人の希望ですv」
ギ「そ、そんな・・・何かの間違いや!!!!」
玄「本当だもんね〜vvでは、また!」
ギ「ちょうま強制終了!!!!!!


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