「なんやつまらん。いつもならうるさいくらい連絡してくるっちゅうに。

 イヅルのやつなにしてんのや・・・」

ふわりと包み込むような春風の中。

白銀の髪の男が一人、小高い丘の木漏れ日の中で木に寄りかかり空を仰ぐ。

「・・・いつもからかいすぎたんかな。あいつおもろいからつい度が過ぎてまう。」

誰に話すともなし。

独り言。

ふと、男は懐から携帯を取り出した。

部下に強引に持たされたものだ。

「・・・?こんな色やったやろか。」

疑問に思いながらもあまり気にならなかったのか、そのまま懐へ。

「まぁ、ええ。もう少し寝よ・・。」

男はそのまま眠りにつく。

暖かな風に包まれながら・・。



      



















 銀〜出会い、別れ〜






















体が重い。

まるで何かが上に乗っているかのように。

「・・・さん?さん!」

・・・この声。

あっ・・

「!!!!」

がばっ ごんっ!!!

〜〜〜いったー(泣)

「〜〜〜っつ、気がつきましたか?」

痛む頭を抑え、声のほうを向くと吉良さんがおでこを押させ、涙目でこちらをみていた。


どうやら心配でうちの顔を覗き込んでいた吉良さんに頭突きをしてしまったらしい。

「・・はぁ、すみません。大丈夫ですか?」

あまりにも痛そうなので一応聞いてみる。

うちはすでに痛みが引き始めているけど。

「えぇ(汗 僕は大丈夫です。さんこそ大丈夫ですか?うなされていましたけど・・」

吉良さんは本当に心配そうにこちらをみている。

心底いい人らしい。

「なんとか・・・。」

白い光の中聞こえてきた親友の声を思い出す。

なんだか嫌な感じがぞわぞわと背筋を這った。

「・・申し訳ありません。突然あのような話をされてもしんじられませんよね・・。

 僕の配慮がたりませんでした。しかし、全て事実です。」

そう言った吉良さんの顔はすごく辛そうで・・

「・・・あの、なんで話してくれたんですか。会ったばっかの人間で、ほうっておけばいいのに」

そう、いっそ黙ってくれていたほうが良かった。

携帯だけ持って帰ってくれれば良かったのに。

「僕にも・・よくわからないんです。でも、あなたに話さなければならない気がして・・。」

重い空気があたりに漂う。

どうしてこんなにいい人なんだろう。

これじゃ文句なんて言えない。

・・・吉良さんも死神。

は死ぬとかなんとか・・。

あれは夢?

それとも・・・

「あの、一つ聞いても?」

吉良さんがゆっくりと頷く。

「き

トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・

このタイミングで・・

誰や!!!

「ちょっと待っててください。」

今日はみんな出かけている。

だからうちが出るしかない。

はぁ〜・・。

ガチャ・・・

「はい、です。」

『・・・あっちゃん?の母です。』

・・・どくん

おばさん・・?

「あの、今みんなでかけてて・・

がね、今朝事故にあって・・・命は取り留めたけど脳死の状態で・・・

意識がもう戻らないかもしれないの。』

・・・が?

夢じゃなかった・・!!

「何処の病院ですか!」

『・・清崎病院。あの子に・・会ってあげてくれる?』

清崎・・駅からバスで30分。

「今から行きます。」

『・・・ありがとう』

受話器から聞こえてきたおばさんの声は今にも消えてしまいそうだった。

その声が・・現実を強く意識させてきて。

急いで部屋に戻り出かける支度をする。

吉良さんに事情を話すと、彼も一緒に行くと言い出した。

「お願いします。もしかしたら・・・確かめないとはっきりしたことは言えませんが。

 僕も行きます。」

「・・わかりました。」


 清崎に行くバスの中。

吉良さんはずっと思いつめた表情をしていた。

何度か人が乗ってきたけど、誰も吉良さんが見えていないみたいだった。

また、大きな現実が襲ってくる。

吉良さんは本当に死神なんだ。

死神・・・まさか・・・

死神がを連れて行こうとしている・・・?

ピンポンパンポンッ♪

《次は清崎、清崎でございます。お降りの際はお忘れ物の・・・

さん?次ですよね?」

考え事に夢中になっていてアナウンスに気づかなかった。

吉良さんに言われ急いでブザーを押す。

今は、今はともかくに会わなきゃ。

このことは後で吉良さんに聞こう。

ブザーを押して少し走ったころバスは止まった。

バスを折り病院まで走る。

五分もしないうちに到着した。

「・・はぁはぁ・・あの、今朝事故で運ばれた者の友人なんですけど」

受付の人に案内してもらったのは集中治療室だった。

ドアの前でおばさんと医者が話している。

「おばさん」

「あ、ちゃん。先生、この子です。会わせてあげて下さい。」

本来なら肉親しか面会できないんですが・・・

と医者は渋っていたけど、最後には折れて中に入れてくれた。

中は消毒液の匂いで満たされていて・・・

ビニールのカーテンの先にいろんなチューブにつながれたが寝かされていた。

「っ!!」

そのの横に、吉良さんと同じ着物を着た男が二人・・・

死神!!

「なっ!何で!!に何を!!」

手前の赤色の頭をした男に掴み掛る。

男はかなり驚いていて反応が少し鈍っていた。

その隙を突いて

ばちんっ!

「っの人殺し!!」

思いっきり引っ叩いてやった。

いきなり大声を出したうちに驚いて駆けつけた看護婦さんたちに外に連れ出されるまで、

そいつらを罵った。

あいつらがを・・・!!



騒いでいた女が外に連れて行かれ静まり返った室内。

死神の二人の男は多少なりとも驚いていた。

「・・・朽木隊長。あいつ俺たちが・・・」

「・・あぁ、・・誰だ?そこにいるのは・・」

頬をぶたれた赤色の髪の男が朽木と呼んだ男の声に促され、

姿を見せたのは吉良だった。

「・・阿散井君。朽木隊長。お久しぶりです。」

「っ吉良!何でお前がここに!」

阿散井と呼ばれた赤色の髪の男が声を上げる。

「お二人にお聞きしたいことがあります。」

「ちょっと待てよ!その前に何でここに

「恋次。」

「っ・・はい。」

朽木という男に制止され阿散井が黙る。

「ありがとうございます。・・この少女は?」

「・・・巫女だ。」



何なのさ何なのさ何なのさ!!!

いくら言っても誰も信じてくれない。

どうして?

あいつらは今ものそばにいる。

早く追い出さなきゃが連れてかれちゃうのに・・・・!!!!

「・・さん」

背後から聞こえた声。

振り返ると吉良さんが立っていた。

「っ!吉良さん!あいつらなんなんですか!早く追い出して!!」

「落ち着いて・・・またお話しなければならない事ができてしまいました。」

「落ち着いてなんか

「彼女は巫女です。」

吉良さんの目はすごく真剣で。

どうしてこの人には逆らえないんだろう。

「・・・っ、わかりました。でも

「あの少女の無事は保障します。」

この人はなんでもお見通しらしい。

とりあえずその場に座る。

と、吉良さんが横に腰を下ろした。

「・・まず、あなたは今まで幽霊など見たことがないと言っていましたね。

 なのにいきなり、死神に触れられるほどの霊力を身につけてしまった。

 その原因はおそらく、彼女にあります。」

・・・に?

話を促す意で吉良さんを見つめる。

「推測ですが。あなたはもともと強力な霊力をうちに秘めていた。

 その力が、彼女が覚醒するさいに一緒に引き出されたのでしょう。

 あなたと、彼女は親しいようですし共鳴したのかも知れません。

 そして彼女のことですが・・・」

吉良さんはそこまで話して黙り込んでしまった。

どうやって話そうか迷っているようだ。

今なら割り込んでもよさそうだ・・?

「あの、彼女とかじゃなくて、です。名前。」

「・・あっ失礼しました。さん、ですか・・。」

そして、再び吉良さんは話し始めた。

「・・僕はさんのことを巫女といいましたが、先ほど、

ソウルソサエティの事はお話しましたよね。

 その、ソウルソサエティを鎮め守るのが巫女の役目なんです。 

そしてさんは今の巫女に継承者として選ばれたのです。

そのため、彼らが迎えに来ているんです。」

・・・巫女。

って迎え!?

「迎えって連れてっちゃうんですか!!!?」

「落ち着いてください。連れて逝くと言っても、さんが死ぬわけではありません。

 巫女は肉体を持ったまま、この世とあの世を行き来できるんです。」

なんだ・・・良かった・・・

じゃあなんで

「こんな事に・・ですか?」

うっ・・・

「クス・・あなたは素直な方ですね。さんは事故ではありません。

 虚に襲われたんです。」

虚って、どくろの仮面みたいな顔の怪物だっけ・・?

なんで

「先ほどお話したように霊力の強いものを好んで食べます。

 さんは巫女に覚醒したばかりでうまく霊力をコントロールできなかったようで。

 その力に気づいた虚が彼女を襲ったようです。

あの二人が少し彼女のもとを離れている隙のことだったそうです。」

「役立たず」

「まぁまぁ(汗 さんは意識が戻り次第、ソウルソサエティにお連れするそうです。」

ソウルソサエティに・・・。

「いつ戻ってくるんですか?」

その問いに吉良さんは少し困ったような表情を浮かべた。

「・・そうですね。それはなんとも言えません。

さんにはやらなければならない事がたくさんありますから・・・」

やらなければじゃなくて、やらせなければの間違いなんじゃ?

だったらうちも

「うちも一緒にソウルソサエティに行きます。」

「なっ!さん!」

「だめなんて言わせないですよ!だいたいこのゴタゴタに巻き込んだのはあなた方なんですから!!」

そう、吉良さんの隊長が携帯を間違えたのがきっかけなんだ。

もし間違わなければ、死神の存在なんて知らないままだったし。

「・・・確かに・・・はぁ・・わかりました。巫女の付き添いとして上に話を通します。

 ですが、いつ戻ってくるか、無事に戻ってこられるかもわかりませんよ?」

そんなんわかってる。

でも、あの夢みたいに置いていかれるのは絶対に嫌だ。

「はい。かまいません。」

そしてうちはソウルソサエティへと行くことになった。

事の発端は携帯。

そういえば持ち主はどこで何をしているんだか。

ともかく、ここから始まる。

いつもの変わらない世界から新たな未知の世界へと。












あとがき
玄「うっし!ギンさんも出てきたし白夜さまも・・・vきゃっvv」
ギ「なにがきゃっvやねん!僕ちょこっとしか出てへんやん」
玄「何をおっしゃる!ちょこっとでも出たんだからいいじゃないですか♪」
ギ「・・玄、僕を怒らせたら怖いで・・・・」
玄「っと、次回はいよいよソウルソサエティに突入!!
ある計画をもくろんでるからそこんとこ覚悟しといてねv」
ギ「こら!勝手に終わらせるんやない!」
玄「ってことで、シーユー!!」